ジメチルサルファイドとは?口臭の原因の一つ
家族や友人と楽しく会話している時、相手からきつい口臭がただよってくると、思わず顔をそむけたくなることがあります。口臭の原因となる物質や要因は様々ですが、主要な要因の一つに「ジメチルサルファルド」が挙げられます。
ジメチルサルファルドは、「硫化水素」や「メチルメルカプタン」とあわせて「口臭三大要因」の一つにカウントされています。
ジメチルサルファルドは嫌気性細菌が口腔内の組織を分解することで発生しますが、それを防ぐには唾液分泌の正常化や舌苔の衛生を意識する必要があります。
ジメチルサルファイド(DMS、ジメチルスルフィドとも)とは
ジメチルサルファルド (dimethyl sulfide)は、「ジメチルスルフィド」と呼ばれることもあります。両者の違いは言語による違いであり性質は同一です。また「DMS」や「硫化ジメチル」と呼称されることもあります。
この成分は自然界に存在する物質であり、コケやプランクトンが産生することがあります。また実は海苔の香り成分としての役割を果たすこともあり、私たちの生活に身近な存在でもあります。
しかし同時に、口臭三大要因の一つとして硫化水素やメチルメルカプタンとともに名前が列挙される成分でもあります。
口臭予防をするうえで、この成分の性質や特徴を理解しておくのは良いことです。では、ジメチルサルファルドの具体的な特性を見ていきましょう。
化学的性質と特徴
ジメチルサルファルドは、化学式では「C2H6S」と表記されます。常温では液体として存在し、水には溶けにくい性質を持っています。
硫黄原子を含む有機硫黄化合物の一つですが、有期硫黄化合物は一般的に不快臭を持つ物質として生成されます。海水にも含まれていて、いわゆる海で私たちが感じる「磯の香り」は、海洋プランクトンが生成するジメチルスルフィドによるものです。
磯の香りという表現だけ見ると、危険性が少なく、むしろ自然を感じさせてくれる物質のように思えるかもしれません。
しかし、濃度によっては危険性が高くなり、都道府県によっては条例で使用禁止を決めているところもあるほどです。厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」の報告によると、ジメチルサルファルドを用いた動物実験では、以下のような有毒性が確認されています。
- 皮膚腐食性・刺激性: ウサギで可逆性の中等度から強度の浮腫及び紅斑がみられる。11) ,13)
- 眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: ウサギで可逆性の刺激が見られる
- 生殖毒性: 母体に毒性がある濃度で胎児に発育遅延等の影響がある。
参考:職場のあんぜんサイト
濃度の高い気体上のジメチルサルファルドは目や皮膚への刺激をもたらすことがあり、濃度がより高いと酸欠状態ひいては死亡事故を招くこともあります。
発生する原因・要因
ジメチルサルファルドは、揮発性硫黄化合物(VSC)の一つです。VSCは硫化水素とメチルメルカプタン、そしてジメチルサルファルドの混合物です。
VSCが口腔内にあると、それが大気中に放出される際に口臭となって感じられます。本人は認識していなくても、VSCを含む呼気を吸入した相手には、強烈なニオイとして意識されます。
VSCが発生する要因を簡単に説明すると、バクテリアが体内組織や食べかすに含まれるアミノ酸を分解することによって発生します。
具体的には、酸素を嫌う「嫌気性細菌」が、口の中にあるはく離した細胞や血液・唾液・食べかすのアミノ酸をもとにガスを発生させます。
VSCは空腹時や睡眠時(および起床時)、緊張している時などに発生するのが一般的です。これらのタイミングでVSCが発生するのは、唾液の分泌量が減少しているためです。
唾液が大量に分泌されている時は、口腔内に臭いを発生させるバクテリアがいても、唾液で細菌を閉じ込めて胃へ送ってくれます。しかし唾液が少ないと、原因物質は口の中にとどまったままなのでにおい成分が増殖してしまいます。
野菜が腐ったようなニオイがする
ジメチルサルファルドのニオイを表す表現としては、「野菜が腐ったようなニオイ」とか「生ごみのようなニオイ」と言われることが多いです。
また「キャベツが腐ったような臭い」と言われることもあります。表現は様々ですが、いずれにしても食べ物が腐ったようなニオイという点では共通しており、ゴミの嫌な臭いに触れたことがある方ならピンときやすいでしょう。
乾燥や舌苔が発生源の可能性が高い
ジメチルサルファルドが発生する要因としては、口腔内の乾燥と、舌苔の不衛生な状態が関係している可能性が高いです。ですから口臭対策としては、口腔内の乾燥と舌苔の適切な清掃が大切です。
適度な食事をして乾燥を避けること
先述のように、口臭は空腹時や起床時などに発生する場合が多いですが、それは口腔内が乾燥している状態、つまり唾液分泌が減少している状態です。
唾液分泌量が正常であれば、仮に原因細菌が発生していても、外へ臭いをあふれさせる前に体内奥へと追いやってくれます。ですから、口を乾燥させないような適切な食事を心がけるようにしましょう。
例えば飲酒は口を乾燥させます。夜にお酒を飲むと、口腔内のアルコールが睡眠中に口を乾燥させます。ですから寝酒などは控えるようにしましょう。
また唾液分泌を促すには、よく咀嚼することが大事ですが、やわらかい食品だけでなく噛み応えのある食品を使うことも大切です。
舌磨き・舌苔除去で軽減できるかも
また舌苔が発生源となってジメチルサルファルドが産生される可能性も高いです。鏡で舌を見てみると、舌の上に白っぽい苔上の物質がこびりついていることがありますが、舌苔はこの白色苔状物質のことです。
舌苔には脱落した上皮細胞やブドウ球菌・白血球などが付着していますが、これらが「エサ」となって細菌を繁殖させ、結果的に不快臭が産生されます。
ですから舌をよく磨いて、舌苔を除去するようにしましょう。舌ベラや舌ブラシなどを使えば、舌苔を少しずつ除去できます。歯磨きだけでなく、口腔全般の衛生を意識することが大切です。
Wikipedia:ジメチルスルフィド
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